A 「証拠」を求める難民認定 |
|
|
難民たちは、難民であることを説得できる「十分な証拠」の提出を求められます。ある組織に所属していたこと、あるいはある集会に参加していたこと、あるいは令状なしに拘束されたことを証明する文書的証拠、などです。
しかし難民は迫害を受け、命からがら祖国を逃れた人が多く、その証拠を持ち合わせていない場合がほとんどです。一方、申請者に対しては難民制度に関する十分な情報提供がされておらず、また審査インタビューなどでの通訳の問題もあります。 |
|
B 機能していない難民審査参与員制度(中立・公平?) |
|
|
難民認定の一次審査と、異議申立についての二次審査とも「入管法違反者」を取り締まる入国管理局が行うため、難民審査の中立性と公平性の確保に大きな問題があります。異議申立の審査に関与する参与員の任命権は事実上入管が持っており、法務大臣に意見を述べる参与員の中立性、公平性が確保される制度にはなっていないのが現状です。
2011年5月現在、参与員は55人ですが、以前から難民の実状を知っている委員は極めて少なく、3人1組で審理されるため、知識・経験に偏りのある委員構成にならざるを得ません。関西では2010年ごろから参与員の審査の際、弁護士や支援者が立ち会えるようになってきました。質問もできるようになっていますが、審査内容は変わってはいません。 |
|
C 的確な立証の機会を奪う難民申請者の収容 |
|
|
入国後すぐに申請すると仮滞在許可が与えられると法律に謳われています。しかし難民の実状から離れた厳格な要件のもとで、2010年に許可された者はわずか65人です。不法入国や不法滞在だとして収容施設に拘禁されている難民申請者も少なくなく、施設から仮放免されない難民申請者は拘禁された状態で、自分が難民であることを立証しなければなりません。
しかも異議申立に使う資料には日本語の翻訳が要求されます。このため収容された難民申請者が難民であることを立証することは不可能に近いと言えます。 |
|
D 入管の判断に追従するだけの裁判所 |
|
|
難民と認められなかった、たくさんの人が裁判を起こしています。しかし言葉も通じない国での裁判は多くの苦労があります。
国は、難民たちが苦心して集めた証拠や証言の価値を否定する主張を繰り返します。難民申請制度を知らない段階で作られた供述調書を証拠として提出し、難民であるという本人の供述は信用できないと主張します。
また、裁判所は、過大な立証責任を本人に課したりUNHCRのガイドラインを満たさない、難民に不利な基準を採用したりします。
…その結果、ほとんどの人が裁判に負けてしまいます。 |