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 集会報告

  かんたん報告      当日配布資料から     感想アンケートから

阿部浩己氏の講演 ビデオレターで日本の皆さんに挨拶
阿部浩己氏の講演 ビデオレターで海外から日本の皆さんに挨拶
パネルディスカッションの様子 会場の様子
パネルディスカッションの様子 会場の様子

● かんたん報告

7月14日、暑い中、大阪大学会館アセンブリホールで行われた「世界難民の日関西集会」に120名の方々の参加がありました。

集会は開会にあたって、実行委員会の田中さんより「日本の難民認定率の低さの中で、韓国が今月から新難民法が施行されたことを紹介し、私たちができることは何なのか考え行動する一歩となるように」と挨拶され、始まりました。

  主旨説明

  「難民認定制度―その社会的機能と日本の実情」―阿部浩己氏の講演

阿部氏は初めに、カナダの難民認定制度の根幹たるものを、難民研究者のPeter Showler氏の著書から紹介し、「難民とは」「難民条約(難民の地位に関する条約)の背景」など興味深いお話をされました。
国際情勢から、冷戦時代の「難民」と、冷戦後の「難民」の定義的なところや出身国も事情も違ってきます。それに受け入れる国の事情も変わってきていることを私たちは認識しなければなりません。
「人間の安全保障」を考える点で「移動の自由」「移動を妨害されない」といった視点が必要だというお話でした。

日本の難民認定制度では、現状の問題点を浮き彫りにされ、当事者においても、また在留管理制度が強化され非正規滞在のままでは母国に送還されるから難民認定手続きをせざるを得ない問題があるとお話されました。

最後に、「迅速で公正な難民認定手続きを」求めるために、私たちができることを幾つかお話がありましたが、印象的だったのは、日本より制度がずっと進んでいるカナダやニュージーランドでは、制度に対して市民が「まだ足りない」と批判を続けている点です。
それは、昨年の集会で前年に可決成立した「新難民法」に対して、「提案内容と違う」などとおっしゃっていたキム・ジョンチョル氏のお話のように感じました。
私たち市民が人権の意識を高め合うことが必要だと感じました。

  講演要点筆記

  カナダとケニアの実務者からのビデオレター

ここから、「パネルディスカッション」が始まります。その前にコーディネーターの安藤由香里大阪大学特任助教から、集会の直前に参加されていたアフリカのシンポジウムで、出会われた難民問題関連の実務者からのビデオレターを紹介されました。
カナダのトロントのヨーク大学難民研究所のJames Simeon先生は、移民難民認定機関(IRB)で11年間勤められました。そこでの難民認定のための研修についてのお話と日本の難民支援者のために、メッセージを頂きました。
また、ケニア高等裁判所の判事で、難民法裁判官協会アフリカ支部長のIsaac Lenaola判事に、ケニアの難民認定のための研修についてのお話でした。

  「難民条約を活かすために私たちができること」―パネルディスカッション

パネルディスカッションは、安藤由香里氏のコーディネートで、パネリストとして、市民団体の側から、「なんみんフォーラム」の石川美絵子氏、弁護士の側から「全国難民弁護団連絡協議会(以下「全難連」)」の弘川欣絵氏。そして講演いただいた阿部浩己氏にも助言者として、パネリストに加わられ、「なんみんフォーラム」と「全難連」のそれぞれの活動を紹介されました。

市民が難民を受け入れ、支援する素地を作るためにどうすればいいのでしょうか。
例えば、難民支援協会が発行している、「海を渡った故郷の味―Flavours Without Borders」(http://www.flavours-without-borders.jp/)を使って大学の学食やレストラン等にメニューを展開していくことや、劣悪な環境である入管収容所の代替措置のために、コミュニティの中でのシェルターを確保し、その中で難民認定手続の支援をやっていくこと、難民参与員が異議申立を却下出来ないように、支援者の側からも国際条約などを武器にしていくこと、難民の顔を見ながらの支援体制づくりなどがあげられました。

大学においても、難民奨学生を受け入れ、学生らが多様性を学ぶ機会を与えたり、出身国情報等収集して、難民認定手続の一翼を担うなど実践的な授業を作っていくなどがあげられました。

  難民の声

この後、パキスタン難民の方が日本に逃げてくるまでのお話をされ、スリランカ難民の方が同様に逃げてくるまでと日本での生活、収容中のお話をされました。


集会後は、会場を後にし、場所を変えて参加者と交流を深めました。
短い時間に盛りだくさんのお話でしたが、私たちができることは難民を受け入れるために市民生活の中で、多様な生き方を認めていくことであると再認識できたように思います。

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● 当日配布資料から

 当日配布資料のデータを掲載します。「外部リンク」とあるのは、そのサイトの情報を参考・利用させて頂きました。
   (パネルディスカッション資料) ↑Pagetop

● 感想アンケートから(抜粋)

  感想アンケートは30名の方が書いて下さいました。ありがとうございます。
  「ご意見・ご感想」の項目から少しですが、紹介します。
  • 戦後60年、自民党政権下で、「民主主義や人権」を正しくしっかり我国で教えてこなかったこと、故に人権・民主主義が社会に定着せず、今の日本の現状があると思います。

  • とても有意義な時間を過ごすことができました。

  • 難民問題について詳しく知ることができました。ただ難民受入れができるようになった後、どのような社会を私たちは目指すべきなのか、という将来的なお話も、もっと詳しく聞きたかったです。

  • 実践を進められる人達への難民の方々の納得のいく平等な社会を実現して欲しい。

  • 「難民」だけでなく、一般的な移民の受け入れについても、もう少しゆるやかな方が良いと思います。

  • 難民保護法の内容がほしかった

  • マニュアル化して型にあてはめて、はみ出した部分を排除するという日本の土壌が難民認定制度の日本の現状の元凶になっていると思われます。一条学校を出て塾通いをし、部活に入って友達をつくって受験を通して大学生になった人達は果たしてどの程度谷間に生きる人々の立場に立てるのでしょうか。個人的には学生の意識調査・大学の教務システムの検討を遂行しない限り、この問題に対する学生・大学の力は期待できないと思われますが、如何でしょうか。

  • 最後のスリランカの人の発言で難民の方々が置かれている状況がよくわかりました。

  • 難民、また、国際的に移動する人々について考えるとてもよい機会でした。多くの人がこの現状にもっと理解してくれるといいなと感じてます。

  • パネルディスカッションの時間がもう少し長くても良かったと思います。学生の時に難民問題を研究していて卒論を書きました。約10年前です。その頃と比べて難民問題が日本の中でどのように改善されたのかなと思ってやって来ましたが、ほとんど変わっておらず、残念な気持ちになりました。

  • 難民の定義について、政治的状況によって、通用の幅が変遷していること、その歴史を知ることができたのは良かったです。そして、(1)難民の特殊性を強調して、一部のみを救うか、あるいは(2)あらゆる人は移動する自由があるんだ、国境のかべをなくしていくという理念の追求の2方向があることも大変おもしろかったです。ありがとうございました。

  • 今まで難民について、勉強したことは全くありませんでした。今日は、講演では「難民とは」から説明して頂きましたので、とても良かったです。
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主催:2013年世界難民の日関西集会実行委員会
共催:大阪大学グローバルコラボレーションセンター(GLOCOL)
後援:公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
協力:特定非営利活動法人なんみんフォーラム(FRJ)、全国難民弁護団連絡会議、難民ナウ!

事務局:RAFIQ(在日難民との共生ネットワーク) FAX:072-684-0231  Mail:rafiqtomodati@yahoo.co.jp
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