|
|
講演する渡邉彰悟弁護士 |
会場の様子 |
コンテンツ
超かんたん報告
6月15日、世界難民の日(6月20日)に先んじて開催された関西集会では、約120名の参加がありました。参加された皆さま、また当日のスタッフとしてお手伝い下さった皆さま、ありがとうございました。
集会の模様を「難民ナウ!」さまのご協力でUstream中継する予定でしたが、諸般の事情により、中止になりました。楽しみにしていらっしゃった方も多いかと思います、大変申し訳ございませんでした。
なお、集会の一部の模様は当日のNHK関西ニュース(19:00以降)で報道されました。
・“難民に理解を”大阪で集会 (14/6/15 NHK 関西 NEWS WEB)
では、順に追ってかんたんに報告します。
【趣旨説明 「今こそ難民の受け入れを考えよう」(実行委員会 田中恵子)】
実行委員会の田中から開催の趣旨説明を行い、2012年には2500人を超える難民申請者数となり、その対応を迫られている法務省の動きを、2013年の難民認定者数を挟み、説明がありました。
またこの間に国会でも「行政不服審査法整備法改正」を中心に、多くの議員が難民問題について質問してくださり、難民問題が明らかになってきています。
詳細は参議院のHP、又は各議員のHPをご参照ください。
- 6月3日 民主党 難波議員 参議院総務委員会 参考人質疑
「行服法の難民関連部分を質問していただき、日弁連の会長声明にも言及」
- 6月5日 民主党 藤末健三議員 参議院総務員会
「行政不服審査法(以下、行服法)の入管法・難民(特に異議審査)関連部分」
- 6月5日 無所属 糸数慶子議員 参議院法務委員会
「入国者収容所等視察委員会の在り方に関する件、難民認定制度の抜本的改革に関する件等」
- 6月5日 社民党 又市征治議員 参議院総務委員会
「不服審査法および難民専門部会についての質疑等」
- 6月12日、社民党福島みずほ議員が、「無国籍問題に関する質問主意書」を提出 (参議院HP) 外部リンク
【講演 「難民認定実務の現状と課題」(渡辺彰悟氏)】
次に、法務省の諮問機関である「難民認定制度に関する専門部会」委員である渡邉彰悟弁護士のお話を聞きました。
難民認定率の低さはどこから起因するのか…という観点から問題点を取り上げられ、不法入国・滞在者の取締をする法務省入国管理局が難民制度を担当していることに根本の問題がありますが、個別的には、当事者である難民申請者に認定不認定の理由が具体的に示されないこと、異議申し立て時の難民参与員に関しても専門家がほとんどいないことや、ここでも認定基準の不確かさがあり、更にらにその参与員の意見さえ法右大臣は受け入れないとされるなど、法務大臣自身も参与員制度を無意味なものにしていることがわかりました。
難民の出身国の状況は難民理由の根拠の一つとされますが、日本と出身国との外交問題を取り上げられ、出身国に対して政治的な配慮が働いていると明言されました。
あたかも難民認定すると、その難民の出身国とは敵対国になってしまうかのようです。
以上のような論点を、渡邊弁護士は海外主要国やUNHCR基準との比較、弁護団としての経験などに基づいて、わかりやすく説明されました。
そのような政府の思惑が入管だけでなく、難民申請者が最後の砦としたい裁判所まで働いているとなると、司法の独立や人権を守る砦は日本にはひとつもないと言ったほうが早いくらいです。
しかし、その中でも渡邉弁護士は難民申請者の地位安定と、日本の制度の改革に向けて方策はあると力強く明言されました。
私たちも、在日難民の自立と生活安定のために支援しながら、制度改革に向けて努力しなければなりません。
講演:渡邉彰悟弁護士「難民認定実務の現状と課題~1982年施行から32年を経て~」要点筆記
ページトップ
【難民のアピール】
再申請中のネパール難民の方、最近仮放免されたトルコ難民の方、そして難民不認定取り消しを求める裁判をしているウガンダ難民の方、3人の方からのそれぞれの思いのアピールがありました。
【海外の事例 「世界の中の日本と難民保護」(難民支援協会 小川昂子氏)】
アジアは世界の難民の半分から三分の一が滞在している地域で、難民を排出している国も多い一方で、難民条約に批准している国の数はもっとも少ない地域であることに触れ、その中で、東アジアは、台湾、韓国をはじめ、独立した難民法を制定する動きが活発になっていることが紹介されました。そして、その中でも、制度の課題は多くあるものの、とりわけ日本と韓国は、条約に批准して国内に認定制度を持っており、第三国定住での受け入れが始まっていたり(日本)、また韓国でももうすぐ始まる予定であることから、この2か国が、難民の保護・受け入れで果たす役割の期待は、アジア太平洋でも世界でも大きいことが紹介されました。しかしながら、日本の場合は、2013年の難民認定が6人と、受け入れ対応は講演の中であったように大変お粗末なものだという指摘がありました。
国際社会と日本の対応に大きな隔たりがある一例として、シリア難民の保護が挙げられました。シリア危機から3年経過し、周辺国へのシリア難民流入は止まらず、この状況に応えて、ヨーロッパ各国や米国、カナダ、オーストラリアなど21か国は、UNHCRと協力して、それぞれが合計で2万人の緊急でのシリア難民受け入れを表明してます。その一方、日本では、シリア出身者の難民申請数が2011年から2013年末で52件、処理数が34件、難民認定は0で、人道的配慮(による在留)を認めたのが33件というデータを紹介し、家族の呼び寄せが叶わない課題などに言及されました。他国の対応例として、スウェーデンが、人道的な観点から、入国して難民申請するシリア難民には全員に永住権を与える決定をしたことなども紹介されました。
さらに、日本では、難民認定の結果が出るまでの公的な支援が限られている中で、シェルターなど難民支援協会に寄せられる難民からのニーズは大きいが、なかなか追いつかないことなどもあげられました。最後に、認定されて家族を呼び寄せるまでに9年かかった難民の方の事例も紹介されました。
【NGO取り組み紹介】
主だった団体を紹介します。
- 無国籍ネットワーク ベトナム難民2世の学生がアピールされました。今年は無国籍条約60周年の年ですが、日本は批准していません。
- 日本ビルマ救援センター(BRCJ) 民政移管した経緯と経済特区と日本の関係をお話されました。経済特区と言われる地域に住んでいた人たちは強制移住等をさせられています。
- 難民制度の改革を拡げる関西の会 法務省が難民の権利利益の制限に向けて検討する委員会の議論は委員同士のもの、法務省はその中から使えることを参考意見として取上げる立場。制度改革を進めるには、入管と「なんみんフォーラム」(FRJ)、日弁連が認定制度等について協議するとした「覚書」を生かす活動や、以前は自身で日本でも直接難民認定していたUNHCRの権限を活用する活動を強化することが必要と訴えられました。
- RAFIQ(在日難民との共生ネットワーク) 難民の生活支援を主にお話があり、医療関連へのアクセスに関する支援、他団体の支援を受けられるようになったこと(食糧支援として「ふーどばんくOsaka」、住まいと地域支援として「天人(アマント)」)を紹介してくれました。
その他、会場では賛同等していただいた団体のブースや、写真展が展開され、参加者との交流がありました。
ページトップ
感想アンケートから
感想アンケートには20件の回答を頂きました。その中の「ご意見・ご感想」を感謝を込めて掲載します。
回答いただいた皆さま、ありがとうございました。
- (1)この集会の資料として関係団体の多様な資料が一緒になっていて、もう少し整理を。(2)渡邉氏の資料がパワーポイント資料で出しているが、資料なので読める様にしてほしい。なんでも縮小して入れれば良いというものではないのでは?
- 先生のレジュメ(PPT)が小さくて、うすくて、少し見づらかったです。先生の話はとても勉強になりました。
- 以前に比べて空席が目立つが、難民問題への関心が一般の方には無くなったのかなあ?
- 来年も楽しみにしています。この集会は学生の姿が見られるのがよいですね。
- 今回の「趣旨説明」の内容をもし可能でしたら、画面表示と同様の様式でレジュメに入れていただけたら更によかったかと思われます。コンパクトでなおかつ印象に残りやすい内容でしたので。全体として非常に参考になる内容や取組報告を聞かせていただきました。今後の公民科教育に役立てて参ります。
- どこで頂いたかわかりませんが、チラシを見て参加しました。難民認定、こんなに少ないの?!とチラシを見て初めて知りました。集会でのお話、聞いてびっくり、あまりにひどい日本政府のやり方に、ため息が出ました。その中でも、支援や交流の取り組みの報告があって救われました。今日の資料を読み返して、周りの人にも話をしていきたいです。いろいろな資料の集会の中に案内チラシを入れてもらうとか、受付に置いてもらうとかで、もっと知ってもらえるのではと思います。
- 渡邉先生の講演で、実際に法レベルの現場では何が起こっているのかというのがわかって非常にためになった。
- 難民について知らなかったことをたくさん知ることが出来ました。また、もっと詳しく知りたいと思うことがたくさんでてきました。いろんな方とお話でき、視野がひろがりました。参加してよかったです。ありがとうございました。
- 知らないことが多くて本当にガツンときました。たくさんの人の話を聞けてよかったです。これから自分にできることを考えていきたいと思いました。
- 最近アムネスティのチェック出来ていませんが、私も英語署名参加させて頂きたかったです。隣の女性は英語とかペラペラなのでわざわざ持参して頼まれていらっしゃいました。やはりどこに行こうが、語学が出来無いと生命の危機が常に継続しているは確実です。ところで地球上好きな時に好きな場所へ勝手に行き、好きに話せれば良いとつくづく思います。
- 難民問題に取り組んでいる社会学の専門家の話を聞きたい。
ページトップ
主催:2014年世界難民の日関西集会実行委員会
後援:公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本、全国難民弁護団連絡会議 協力:難民ナウ!
問い合わせ、事務局:RAFIQ(在日難民との共生ネットワーク)
大阪府高槻市大手町6-24 FAX:072-684-0231 Mail: rafiqtomodati@yahoo.co.jp
|
|
|
|