難民鎖国日本 シリア難民から保護を求める人たちも難民ではない? ――
UNHCR(国連高等難民弁務官事務所)によると、2013年44ヶ国の先進国において難民申請件数が28%急増し、北米、欧州、東アジアと太平洋地域で難民申請を行った人の数は61万2700人でした。
日本も例外ではなく日本に保護を求めた難民申請者は3,260人(前年比715人増・約128%増)と過去最大数でした。
しかし、何年もかかる異議申立や裁判によるケースも含めて、難民認定者は法務省発表では1997年以来最小のわずか6名でした。6名のうち3名は異議申立後の認定、難民不認定取消裁判を行っても1名しか認定されませんでした。
異議申立について法務省以外の人たちの意見を聴くとして2004年から設けられた難民審査参与員の難民認定意見を法務大臣が「受け入れない」とした事例が4件(7人)に上ることが明らかになっています。世界中が支援を行っているシリアの人たちも一人も難民と認定されていません。
法務省の審査(1次)では認定率が0.1%という「先進国」の中ではありえない低さになっているのです。
人道的な支援を表明し難民条約に加入(1981年)した日本が33年経っても条約に参加していないのとかわらないない状態です。
保護希望者に生活の保障と難民が立証できるような配慮を! ――
昨年だけで3000人を超す66カ国の「祖国での迫害を逃れてきた難民」がこの日本で不安定な生活を送っています。この中には、単身での子どもや女性、母子、母国や周辺国が危険な中で心や体の病気にかかっている人も含まれています。また日本での生活が長期化し10年を過ぎた人もいます。
難民条約に基づいて言葉や文化に違いがある申請者が十分な申請活動を行うためには、申請を作成する段階から様々な支援が必要です。また、それと共に日本での生活が維持されなければなりません。しかし、日本では申請者の保護は不十分で滞在期限を超えたとか、許可なく仕事を行ったとして入国管理局に収容される人もいます(2012年242人移住連調べ)。
在留資格の有無にかかわらず就労を認めること、また最低限の生活保障と子たちへの健康と教育を保障することが必要です。
国連(UNHCR)基準の新しい難民制度を創ろう! ――
日本は2011年、UNHCR60周年に当たり衆参両院で「難民の保護と難民問題の解決策への継続的な取り組みに関する決議」を全会一致で決議しました。また今年も1月~3月期だけで総額1億2580万米ドルの資金供与をUNHCRに行い難民支援を表明しています。
しかし、日本に保護を求める難民に対しては依然としてその扉は閉ざしたままと言える状況の中で、法務省は昨年10月から難民認定制度の運用見直しに向けての検討を始めました。
法務省の説明では、難民条約の迫害理由に当たらない案件や同じ事情で難民を繰り返し主張する複数回申請などの処理を取り扱うとしていますが、難民認定率が0に近い認定判断にこそ大きな問題があるはずです。
難民が望んでいることは祖国で家族とともに平和に暮らすことです。難民条約はそれが可能になるように各国が協力して保護するための取り組みです。
多くの皆さんが難民問題に関心を持ち、自国で迫害を受けた人たちが再び日本で迫害を受けるかのような状況を終わらせ、一日も早く難民が保護され人権・人道に基づく難民制度を日本で実現できるよう、ご協力をお願いいたしま
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