全体報告 集会当日配布資料から 講演要旨 パネルディスカッション要旨 感想アンケートより
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基調講演 キム・ジョンチョルさん(左)
韓国難民法について |
会場の様子 |
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休憩時間はブースで交流 |
パネルディスカッション
UNHCR職員、難民弁護士を交えて
日本の難民制度を考える |
(写真提供はいずれもPASTELの皆さん)
◆ 全 体 的 な 報 告 ◆
簡単にご報告します。おいおい報告を充実させていきます。
土曜開催にしたので参加が心配でしたが約180人の参加でした。
キム弁護士の基調講演と、パネルディスカッションの中で韓国の難民法の優れているところと日本の難民認定法の問題が浮き彫りにできたと思います。空野先生の質問もとてもよかったです。
6月20日の「世界難民の日」に当たり、日本の難民問題を正面から訴える唯一の集会になったと思います。
報告交流の時間では、
- ビルマ情勢
- ブータン難民問題
- スリランカ難民から
- ネパール難民から
- エチオピア難民調査のためのカンパのお願い
名古屋難民支援基金が調査するためのカンパを要請され、会場でカンパ袋を回させていただきました。
ご支援ありがとうございました。
- 難民支援協会(東京)の報告
- 4月に結成した学生団体PASTEL(京都)の報告
- アムネティ・インターナショナルからのアフガン署名のお願い
詳細はこちら (外部リンク)
- WARAと連帯する会から、東京でのアフガン復興会議(7/8)について
6/28に外務省へ要請したことを報告されました。
などの発言がありました。
資料では韓国難民法と日本の難民認定法の対照表も載せましたので、充実しとても良い内容になりました。
(報告 T)
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◆ 集 会 当 日 配 布 資 料 か ら ◆
集会の基本説明パワーポイント pdf
私たちが出会った難民 pdf
難民と認められるまで~難民申請の流れと問題点 pdf
2011年の難民統計に関する全難連声明 (全国難民弁護団連絡会議) 2012年4月 外部リンク
昭和57年~平成23年までの難民認定申請等の状況 (法務省) 外部リンク
難民の保護と難民問題の解決策への継続的な取り組みに関する決議
衆議院 2011年11月17日 第179回国会決議2号 外部リンク
難民認定手続等に関する市民団体との協力関係に係る覚書
2012年2月10日 (NPO法人なんみんフォーラム) 外部リンク
韓国の難民法と日本の出入国管理及び難民認定法との主要条項対比
(作成:アムネスティ・インターナショナル大阪難民チーム)
難民法制定とその未解決課題への提案 キム・ジョンチョル弁護士
(翻訳:アムネスティ・インターナショナル大阪難民チーム)
難民制度改革提案 (2009年6月 難民制度の改革を広げる関西の会)
◆ 講 演 ◆
「韓国・難民法の成果と課題」
(講師)韓国ソウル弁護士会 弁護士 キム・ジョンチョル氏
難民法制定の経過
韓国は、1992年に難民条約に加入したが、2001年になるまで難民認定される申請者はいなかった。難民申請者の増加を背景に、2006年頃からNGOや弁護士などによる難民法制度の検討会が毎月開かれるようになった。法務部(法務省)内部でもこれに関係する入管法改正の検討が進められ、2009年に改正法が施行されたが、実効的なものではなかった。
2009年にソウル弁護士会が法案を取りまとめ、与党有力者のファン・ウヨ議員等が議案として国会に上程した。法務部は内部で検討してきた経過もあり、法案の一部の内容には反対したが、難民法の制定自体に反対ではなかった。しかし、2011年の8月になっても国会審議の進展はなく成立が危ぶまれる状況であった。2012年の新年を迎えるまさに2日前に最終法案が可決されたが、これには、ファン・ウヨ議員の働きが大きかったと言える。
難民法制定の意義と成果
難民制度の改善は入管法の改正で良いではないかという意見もあるが、私たちは入管法から独立した法が必要だと主張してきた。それは、入管法が外国人の管理・統制のためにあるのに対して、難民法は難民の人権に関する法であり、国の安全保障ではなく、人間の安全保障に関わることであるからだ。入管法は、入国が合法か非合法かだけに関心があり、難民が置かれている状況などは取上げない。
今回制定された難民法では、難民の認定手続きの適正化と権利の確保に次のような成果があった。空港での難民申請に制限がなくなったこと(従来は入国許可を受けた後でなければ難民申請ができなかった)をはじめ、当局による難民申請者の権利等に関する積極的な情報提供、難民調査官の申請者面接(事情聴取)手続きの適正化(弁護士等同席、同性調査官担当、通訳配置、録音・録画実施、調書の確認・複写)、裁判終結までの申請者の滞在許可、また難民認定者については家族の入国・滞在許可、国民と同一レベルの生活保障、既得学歴・職業資格の認定など。
残された課題
国会審議の過程での修正・削除によって、次のような課題が残された。
難民申請手続きの悪用に対処するとの観点から簡易審査手続きが規定された。これは、難民申請における虚偽の陳述や事実の隠蔽、重大な状況変化のない再申請、ビザ期限間際の申請、退去強制執行の遅延目的の申請について、審査手続きの一部を省略することを認めるものである。しかし表面上これらの規定に関係するような事例であっても、その背後には難民の様々な困難があり、そのことが面接と事実調査によって明らかにされなければならず、審査手続きの省略はその機会を奪い適切ではない。
このほか、生活保障か就業許可のいずれかが確実に認められるようにすることや、空港での最長7日間の拘束後の申請者への措置が不明確、法適用は施行日(2013年7月1日)以後の申請者、人道的滞在許可者には就業許可のみ適用などの問題があり、今後の取り組みが必要だ。
[文責:講演・パネルディスカッション担当 中村彰(アムネスティ日本・大阪難民チーム)]
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◆ パ ネ ル デ ィ ス カ ッ シ ョ ン ◆
「韓国・難民新法と日本」
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(パネリスト)
韓国ソウル弁護士会
弁護士 キム・ジョンチョル 氏(左)
国連難民高等弁務官駐日事務所
(UNHCR)
法務アソシエイト 金児 真依 氏(中)
全国難民弁護団連絡会議
弁護士 空野 佳弘 氏(右)
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UNHCR駐日事務所及び全国難民弁護団連絡会議の活動紹介
金児法務アソシエイト: UNHCRは、難民保護という共通の目的を達成するため、その主体となる政
府とNGOをサポートする立場にある。認定数だけではなく、公平性や申請者の生活条件、収容など全体的に見ていく必要がある。具体的には、法律関係のアドバイス、政策提言、難民調査官や入国審査官・警備官向けの研修活動、出身国情報の提供、収容の代替措置の推進、NGOや弁護士等との協力による個別事例への対応、大学への難民向け奨学金プログラムなどに取組んでいる。
空野弁護士: 全難連は、1997年に結成された弁護士の団体。活動としては、難民事件の情報交換、難民条約の解釈・運用や国際基準の研究、声明発表・政策提言、法務省等との協議などを行う。また所属弁護士は、これまでに600人以上の難民申請者の代理人となり、50件以上の勝訴判決を獲得している。
テーマに関する主な発言概要
空野弁護士: 2000年ごろの韓国の状況からわずか10年でこれほど制度内容を変えることができたのは驚きだ。キム弁護士が、難民法を入管法から独立した法として制定する理由を、難民法が外国人管理の入管法とは異なり、人権保障の法であるからと指摘したが、まさにそのとおりであって、日本の問題は、難民制度が入管法に従属していることにある。
2004年の入管法改正で、難民申請を入国後60日以内とする“60日ルール”は廃止され、異議申立では難民審査参与員制度が出来たが、昨年をみても申請者は大幅に増加しているのに対して、認定者は減少している。入管は難民制度を乱用している者が申請者の大半として、難民審査に時間をかける必要はないとみているように思うが、私たちから見れば、申請処理効率を重視して十分な審査が出来ておらず、本来、難民認定されるべき人がもれている。参与員制度にしても、難民問題を理解したうえで認定審査をするという姿が見えてこない。
これを改めるには、難民認定を入管から独立させる必要がある。韓国の難民法では、当局は難民申請者を助ける義務があり、難民調査官の申請者面接(事情聴取)には弁護士が同席し、その状況は録音・録画され、異議申立では難民委員会が実質的に審査するような形であり、また原則として申請者は拘禁施設に収容されないように思う。日本では出来ないことが可能になっている。
金児法務アソシエイト: 韓国での難民法の制定を歓迎している。UNHCR韓国事務所がコメントを出す予定なので正式なものはそれをご覧いただきたい。認定手続きの透明性・公平性の確保に大きな進展がみられた。特に面接での適正な通訳の配置は重要である。またUNHCRとの協力が規定されている。難民条約第35条にも記載されている監督責務のもと、UNHCRが国に対しどのようなサポートが出来るかは政府の意思等によるので、規定は意義深い。一方、空港で難民認定申請の受理可能性審査手続きが導入される可能性があるようだが、同手続きを導入するには多くの要件を満たす必要があり、手続き保障を設けておく必要もある。受理可能性審査は形式的なものである。他国で既に実効的な保護を受けている事例などごく限られた場合に適用が許されることもあるが、明らかに理由がないようにみえる場合などは、難民該当性の実体の審査となるので通常の認定審査手続きによるべきものと考える。その他の条項も、今後、大統領令で具体化される部分も多く、注目していきたい。
難民申請者を収容することは望ましいことではない。日本の場合も収容状況は改善されてきているが、仮滞在や仮放免の際に必要となる住居や生活条件の確保は容易ではなく、収容代替措置をどのように拡大できるかという課題が、今年2月に交わされた法務省・日弁連・なんみんフォーラム(FRJ)の覚書のもとでも検討されている。また、難民審査参与員の独立性を高め、その関与を広げるとともに、参与員制度が多数の異議申立に対応できるようにすることも必要だ。出身国情報を提供できる独立したシステムも望まれる。
キム弁護士: 難民認定審査について、韓国では従来、政府機関職員による協議組織があったが、国家の安全保障の観点からの審査であり、しかも短時間に大量に処理し、難民の状況を判断出来るような機関ではなかった。難民法では、民間人も入れた難民委員会が異議申立の審査に関わるが、難民自身が委員会で陳述する機会を設けることは大統領令に委ねられ、準司法的な手続きというところまでは行っていない。
韓国で難民法の制定を実現できた要因としては、NGOと弁護士の協力、NGOとUNHCRとの関係が良好、法務部もこの問題を研究し(イタリア・サンレモのNGO設置の難民学校で学んだ者もいる)、NGOと法務部が協力した部分もあること、そして与党有力議員のファン・ウヨ氏が積極的に動いたことがあげられる。
[文責:講演・パネルディスカッション担当 中村彰(アムネスティ日本・大阪難民チーム)]
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◆ 感 想 ア ン ケ ー ト よ り ◆
印象に残った企画 より(抜粋)
- 講演 韓国の現状(難民法)を聞けたから 難民と認められるのにとても大変なことだと知った
- 講演 韓国に難民基本法が制定され、日本より一歩進んでいる状況に畏敬の念を持った。国連事務総長も韓国が担い、世界に窓を開いた国際化に対応しているのではないかと思う。
- 講演 話が端的でわかりやすかった
- 難民ブース、リレートーク 当人のお話が聞けてすごく良かったです
- 交流アピール ブータン情勢の説明が印象的。メディアリテラシーの重要性を感じる
その他、感想・意見(抜粋)
- 韓国での面会時の改善から、対照的に日本の状況のひどさを感じました。一刻も早く改善するよう行動していきたい。国外支援(=金を出すだけ)ばかりに目が行って、国内での扱いについてほとほと無関心であるように思います。
- 1分間の黙とうの理由がよく分からなかった!?
(実行委より:アフリカからの難民のアピールの中で、難民のお父様が母国で亡くなられた発言を受け、哀悼の意を表するための黙とうでした。参加者の皆様に十分に伝わらず、申し訳ありませんでした。)
- その場で通訳が厳しいなら、もう少し話者と通訳者の間で話す内容をあらかじめ固めておいて、大体はそれに沿って話したらいいんじゃないか。
- 法の専門的なことはわからないので、図説での法制度のしくみがほしかったです。
- キムさんの講演をもっと聞きたかった。
- 韓国の生活保護法である「国民基礎生活保障法」が難民にも適用されるということで衝撃でした。こちらの分野も近年、権利性の高い法律に改正され、韓国の方がリードされていますネ。
- 難民や多くの支援団体の方と交流できる場で非常に良かったです。
- 最初の体験談の話、短く、途中退席の都合で以後ゆっくり聞けなくて ザンネン!
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