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● (参考2) 現行難民制度の基本的な問題点


  1. 人道を基本として、迫害から逃れ庇護を求める者を国際的に保護することを目的にする難民制度について、入国という点を捉えて、元来、不法入国者の取締り・排除を主たる業務とする入国管理局が、そのすべてを管理・運用していること。これに加えて、難民の認定判断には、出身国の政治、社会、経済、文化などを始め海外事情に精通していることが必須の要件であるにもかかわらず、所轄する法務省は、もっぱら国内問題に関係する官庁であることが、以下の様々な問題の根本にあること。

  2.  難民認定手続きと不法入国取締手続きは平行して進められるとしているため、海外からの庇護希望者に難民制度についての適切な情報が行き渡らないだけではなく、現実には不法入国取締手続きが圧倒的に早く進行し(容疑者の収容令書による収容は最長60日)、審査期間の定めのない難民認定審理の最終的決定に至る前の段階においても、送還先を明示した不法入国としての退去強制令書が発布される。この結果、庇護希望者は、国連が非収容を原則とすることを明らかにしているにもかかわらず、逆に送還可能な時まで収容される状況に置かれることになること。

  3.  収容施設の構造と管理は、もっぱら保安維持の観点から過度に抑圧的となっており、少なくとも数ヶ月は収容される間に、庇護希望者は心身の不調をきたし、医療を必要とする事態も生じていること(西日本入国管理センターの場合、外部に面する窓は厚いスリガラスに覆われている10人部屋、誤投薬や食事への異物混入などがあり、たまりかねた被収容者の帰室拒否などの抗議行動も報道された)。
    なお、管理者への不服申出制度は組織内部のものであり、被収容者からは管理者側からの応答がなく、現実に機能していないとみられている。

  4.  このような拘禁状態の中で、庇護希望者の難民認定手続きの遂行(難民であることの立証活動)は、単独では困難であり、また弁護士や支援者との情報交換・支援にも著しい制約が生じ、庇護希望者に心身ともに耐えがたい負担を負わせていること。

  5.  2004年法改正で設定された仮滞在許可を受ける庇護希望者は極めて限定され、2008年に法務大臣が許可した者は、審査対象となった656人の難民認定申請者のうち、わずか57人に過ぎず、申請活動のための滞在を認めるという制度の機能を果たしていないこと。
    なお、議員質問趣意書に対する内閣総理大臣答弁書では、非収容を原則とする国連の考え方にもかかわらず、難民条約には難民認定申請者について入国管理局の収容施設への収容を行うことを禁ずる規定はなく、当該収容が同条約に反しているとは考えていない、と主張した。

  6.  収容されていない場合であっても、祖国から逃れてきた庇護希望者で日本語ができる者ものは稀であり、生活の維持は容易ではなく、また在日中に難民状態になった者も極めて限られた日本語能力と生活手段しかない。しかも難民制度の存在や内容も知らず、不法入国者取締りの対象とされている場合も少なくない状況の下で、我が国の法制度に基づいて、難民要件に該当することを自ら立証することは現実には困難であること。
    また、不法入国容疑者として警察等に拘束され、会話能力が極めて不十分なまま言葉の意味やニュアンスなどがわからない状態で尋問されることも多く、後に国側主張の証拠として使われるその調書が、庇護希望者の立場を公平に理解する妨げにもなること。

  7. 難民認定判断は法務大臣の権限になっているが、実際の判断は誰が行っているのか明確ではなく、人の命に関わる判断に責任を持って対処するシステムになっていないこと。
      また、異議申立て手続きにおいて、2004年法改正で導入された難民審査参与員は、あくまで入国管理局の組織の一つであって、しかも国際関連業務や司法分野の経験があるとしても、難民問題に精通している委員は少数であり、出身国での紛争、対立、治安などの現在の状況を深く知らないと思われる発言、申請者が異議申立理由などを詳細に申述した書面についてほとんど質問もない状況などが報告されており、法務大臣の処分行為をチェックする機能を十分果たしているとはみられないこと。
  8.  難民不認定処分や異議申立て棄却後、訴訟等の検討や準備をしている段階で、上記2の退去強制令書が執行され、送還されたとみられる事例が絶えないこと。

  9.  難民条約を批准し、人道的立場から難民保護の国際協力を進めるのであるならば、何よりもまず難民認定申請活動を現実に遂行できるようにする公的支援が不可欠であるにもかかわらず、国として唯一の(財)アジア教育福祉財団への委託事業は外務省が行い、支援の対象、金額、期間とも限られ、予算の制約から支給が打切られるケースも生じ、また緊急宿泊施設の提供は東京周辺に限られ、更に申請活動を実質的に進める弁護士の斡旋や費用負担、申請・訴訟資料の収集とりまとめ支援(立証資料は母国語や英語など、日本語のものは一般的な報道情報に限られ、判定資料としては不十分とされる)などはないこと。

  10.  庇護希望者に公的支援が与えられない、あるいは最低限の生活も維持できない状況であれば、自ら生活費や全額自己負担の医療費を始めこれらの経費を償うために就業の機会が開かれていなければならない。しかし仮滞在許可では就業禁止であり、仮放免では(短期の不安定な許可更新の下で既に数年を経る庇護希望者もいる)明示的な就業禁止条件がない場合でも、否定的な取扱いとなり、現実に生活の糧を得るすべがないこと。
      更に、2009年7月に成立した改正入管法・住基法等の下で、外国人登録証明書が廃止されることとなり、仮放免許可を受けた難民認定申請者がそれぞれの市町村における実在の居住者であることを示す公の手段失うため、生活のすべてにわたる制約を受けることになること。

      海外から迫害を逃れてわが国に庇護を求める難民認定申請者は、以上のような苛酷な状況におかれ、2008年に法務大臣の審査(異議申立によるものを含む)で難民認定された件数は1,508件のうちわずか57件に過ぎない。また人道的配慮としての在留特別許可はその大多数がミャンマー(ビルマ)に限られたものであった。
      本国へ送還されると生命・身体の危険にさらされるとする庇護希望者は、わが国を去ることも出来ず、仮放免の許可で過酷な日々をつなぎ、年を経ていかざるを得ないのが現実となっている。
  (2009年10月最終作成)

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