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● ベトナム難民資料:ベトナム難民と入管


★ インドシナ難民受け入れと強制退去処分

 インドシナ難民とは1975年のベトナム戦争終結後、ベトナム、ラオス、カンボジアのインドシナ三国における社会主義化と内戦の戦火を逃れ、周辺国へ逃れた同三国の人々をいいます。

 日本は1978年および1979年の内閣の閣議了解に基づいて、インドシナ難民の受け入れを行なってきました。その後、日本はインドシナ難民受け入れを契機に、国際条約「難民の地位に関する条約(難民条約)」(日本は1981年に条約批准、1981年1月1日発効)に加入しました。同条約加入に伴い、国民年金加入資格の国籍条項(日本国籍者に限る)の撤廃や外国人の生活保護受給緩和など社会保障制度内外人平等原則のもとに、日本の国内法も改正されました(現在、在留資格1年以上の外国人には社会保障制度内外人平等原則が適用されている)。

 法務省はインドシナ難民を難民条約でいう難民(条約難民)と認めていませんが、同条約第33条1項に「追放及び送還の禁止」(ノン・ルフールマン原則)条項があり、インドシナ難民もその準用を受けるものとされてきました。

 そのため法務省入国管理局(入管)は刑事犯罪者のインドシナ難民が在留資格を失っても難民性に配慮し在留を特別に許可していました。しかし、2002年頃から法務省入国管理局は方針を変更し、永住権を持たない実刑1年を超える判決を受けたベトナム難民には国外退去強制処分を下し、西日本入国管理センター等の外国人収容施設に収容するようになりました。法務省入国管理局の国外退去行政処分について法務省はインドシナ難民を法的に難民であると認めておらず、ベトナム難民の本国送還は難民条約にある「追放及び送還の禁止」(ノン・ルフールマン原則)に反しないとしています

 法務省の方針転換に伴い、窃盗、麻薬及び向精神薬取締法違反等で実刑判決を受けたベトナム難民は刑を全うして罪を償っても法務省入国管理局から国外退去強制処分が下され、刑務所出所後そのまま入国管理センターに収容されるのです。

★ 送還先のないベトナム難民

 しかしながら、ベトナム政府は難民として自国から脱出したものについては、現在のところベトナム国民とは認めておらず、受け入れを拒否しているため、ベトナムへ強制送還することはできません。このように送還先がない被収容者は長期収容となりますが、入国管理センターは本来、長期収容を目的として作られた施設ではないため、長期被収容者たちにとって過酷な収容生活となります。収容されたベトナム難民のほとんどは、夜眠れない等の抗菌症状に陥り睡眠薬を常用しているようです。送還先がない結果、一定期間入国管理センターに収容された後、仮放免されセンターを出ることはできていますが、「在留資格なし」の状態におかれています。

★ 内外人平等原則の法的保護を受けられない仮放免者

 仮放免されたベトナム難民は、在留資格がないため就労権はなく、国民健康保険加入や生活保護受給など公的扶助も受けることができません。就労権がないので仕事が見つからず、また見つかっても労働条件が悪くそこで我慢して働く以外ありません。
 もっとも深刻な問題は医療の社会保障制度から排除されていることです。医療費10割負担では到底病院で診療を受けることは経済的にできません。つまり事実上、仮放免者は適切な診療を受ける権利を奪われているといえます。日本国籍者なら刑を全うし、出所すれば国民健康保険に加入できますし、もちろん働くことはできます。しかし、現行政は在留資格のない外国人については労働基準法などを除き、社会保障制度内外人平等原則や働く権利などの法的保護は受けられないとの見解に立ち、仮放免者は国民健康保険にも加入できません。
 このように生きていくために欠かせない「働く権利や適切な診療を受ける権利」を奪われた状態で生きていかなければならない深刻な状態に仮放免者は置かれているのです。
 仮放免されたベトナム難民は、次のように悲痛な叫びを上げています。「ベトナムへ帰れというが、私たちはベトナムに帰ることはできない。日本で生きていく以外ない。しかし、在留資格がない状態では生きていくことさえできない。罪を犯したことは深く反省している。日本でやり直すチャンスを与えて欲しい」と。

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・インドシナ難民とは

政府は1978年4月28日の閣議終了により、ベトナム難民の定住を認める方針を決定した。ラオス難民、カンボジア難民への対象の拡大など、定住許可の条件は順次緩和され、現在までに約11,000人が定住を許可されている。
インドシナ難民は在留資格「定住者」を有しており、半数以上は在留資格「永住者」に変更済みである。帰化をしている者は少数にとどまっており、数%以内と推定される。
後述の難民条約との法的地位の違いについては、内閣官房インドシナ難民対策連絡調整会議において「我が国への定住をすでに許可され、または今後許可されるインドシナ難民については、難民条約にいう難民として認定されないものに対しても、可能な限り難民条約にいう難民に準じて処遇するよう配慮する」と決定されている(1981年4月22日)。

・退去強制事由とは

入管法第24条で規定している退去強制事由のうち、退去強制処分され強制令書が発布されているベトナム人難民のケースに該当するのは以下のとおり。

(1)一年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者(窃盗など)
(2)麻薬及び向精神薬取締法等に違反して有罪の判決を受けた者

上記判決を受けたベトナム難民に対し、刑事優先原則から出所直前に入国管理局(入管)は在留資格永住権者、定住者を問わず退去強制手続きに入ることとなる。退去強制手続きの結果は退去強制処分か在留特別許可(在特)かの二つに一つである。入管は退去強制事由に該当するインドシナ難民に対し、基本的に難民せいに配慮し、在留を特別に許可していた。中には長崎県大村入国管理センター(大村収容所)に(2)の判決を受けたベトナム難民が長期収容(収容約4年半〜7ヶ月)されることもあったが、1999年に社会的批判を受け、仮放免し在留特別許可を与えることもした。
しかし、2002年頃から方針を明確に変更し、ベトナム難民のうち退去強制事由に該当する在留資格「定住者」のものに対し退去強制処分を下し、西日本入国管理センター等の収容施設に収容することになった。退去強制事由に該当する永住権者のベトナム難民の場合は、現在のところ永住権を取り消し、在留1年の定住者の在留特別許可を与え、退去強制処分にしていない。
入管の退去強制処分は行政処分であるが、国外へ退去強制させる処分でもあるがゆえに当事者にとって刑事処分より重い処分であるといえる。しかも、この処分は仮放免になったとしても、就労、公的扶助、教育等の法の保護を受けられない身分であり、ベトナム、日本の両国から捨てられた棄民としての生活を強いる極めて重い過酷な処分である。

・仮放免条件と就労について

退去強制処分が下った仮放免者の仮放免には、通常は1ヶ月に1回の出頭と仮放免の更新手続き、指定住居に済むこと、住居変更は事前に届け許可を得ること、行動範囲指定と制限(通常は居住する都道府県内)、指定行動範囲外に出る場合は旅行許可を得ることなどの条件が付せられている。これら条件のいずれかに反すると再収容されることがある。
仮放免者には就労権はないが、ベトナム難民仮放免者には仮放免条件として就労禁止(報酬を受ける活動の禁止)の条件を付していない。したがって就労したことによって仮放免を取り消され再収容されることはないが、在留資格がないので職安で仕事を探しても職安は仕事を紹介しない。在留資格がない者を雇ってくれる会社を探すのは非常に困難。

これらはベトナム難民仮放免者だけでなく、仮放免状態にある人全般に言えることですが、難民に準ずると位置づけられた人が収容されたり、送還されたり、仮放免という立場に立たされること自体おかしな話です。

・参考新聞記事

 神戸のベトナム人難民ら 仮放免求めハンスト 西日本入管センター (04/6/11 神戸新聞)
 ハンスト越難民仮放免 三十数人母国受け入れ拒む 西日本入管センター 職にも就けず困窮
   (05/1/26 読売新聞夕刊)

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