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● 「生き直すため日本へ」  第三国定住第1陣のミャンマー人家族 「難民キャンプには将来がない」  (10/8/27 朝日新聞)


 ミャンマー(ビルマ)から国境を越えてタイの難民キャンプで暮らす少数民族カレン族の5家族27人が、9月末から日本での生活を始める。自国の迫害や紛争から逃れ避難先の国で暮らす難民を受け入れる「第三国定住」の第1陣だ。難民認定や受け入れ数の少なさが国際的に批判されていた日本の難民政策は、新たな段階を迎える。
(メラ難民キャンプ〈タイ北西部〉=宮嶋加菜子)

 日本が今回、試験的に受け入れる難民は2010年度からの3年間で約90人。
 政府は08年12月、閣議了解で第三国定住受け入れを決め「難民問題への負担を国際社会で適正に分担する観点からも重要」とうたった。背景には、日本の難民認定者数が年数十人にとどまる現状に対し「先進国の応分の責任を果たしていない」という国際社会の冷ややかな視線がある。

  夢見る8歳少女

 ミャンマー国境に近いメラ難民キャンプを訪ねた。ユーカリの葉で覆われた屋根の家が並ぶ。高床式の保育園で、来日予定の家族が習いたての日本語で迎えてくれた。
「こんにち、は」
「は、じめまして」
 男性(24)は妻(23)と4歳、2歳の娘2人の家族4人で来日する。ミャンマーで故郷の集落が武装勢力に攻撃され、4歳で国境を越えた。難民キャンプを転々とし、95年にメラへ。妻とも出会った。
 食料や木材などの生活必需品はNGOから支給される。「ここにいれば生活の心配はないが、もっと暮らしを向上させたい。子どもにも夢と目標を持たせたい。生き直すため、日本へ行く」と、正座したままカレン語で話した。
 日本では農業で生計を立てたいという。「努力すれば生活はうまくいくと思う」
 来日が決まった人は、日本政麻から委託を受けた国際移住機関(IOM)により7月下旬から約1カ月間の研修を受けている。飛行機の乗り方や日本の文化、簡単な日本語会話などを学ぶ。
 当初は6家族32人が来日予定だった。1家族5人が事前研修中、日本の物価や賃貸住宅の家賃を聞いた直後に辞退した。一緒に研修を受けた男性(36)は家族7人で来日する。「故郷のビルマから遠く離れ、言葉も分からず、仕事もすぐに見つかるかどうか」
と不安だが、「ここには将来がない。日本に帰化する覚悟でがんばる」と誓った。
 8歳の少女は「日本に行ったら学校に行って、友だちをたくさん作りたい。
車にも乗りたい」と夢見る。2歳の弟を抱き、はにかみながら「またね」と手を振った。

  3万9千人生活

 メラ難民キャンプは1984年にできた。ミャンマーの軍事政権による強制移住や強制労働、集落の焼き打ちから逃れ国境を越えたカレン族約3万9千人が暮らす。難民祭約を批准していないタイでは難民認定を受けられない。
 狭い道の両脇に食料品店などが並び、竹組みの家が連なる。白いブラウスに紺スカートの制服姿の子どもたちがミャンマー語やカレン語、タイ語、英語とさまざまな言葉であいさつする。NGOなどの支援で開設した保育園が22、小学校が17、中学校が3、高校が7。英語や経済学など専門知識を学ぶ学校も6校あるという。
 タイのミャンマー国境付近には難民キャンプが9カ所ある。支援するNGOの連合体「TBBC」によると、難民キャンプの総人口は1月末で13万6519人。流入は今も続く。「11月のミャンマー総選挙を前に、国境付近の治安は不安定。100人が第三国定住で出ても、千人が新たにキャンプに来る」と、別のキャンプ内の寺院僧侶は説明する。
【写真】9月下旬の来日を前に、日本での生活についての思いを語る家族たち=タイ北西部のメラ難民キャンプ、宮嶋写す

 ・第三国定住
 紛争や政治的迫害から周辺国に逃れた難民を、第三国が受け入れて定住させる制度。
2004〜09年末にタイの難民キャンプから約7万4千人の第三国定住を支援したIOMによると最大の行き先は米国で、6年間で5万7703人。オーストラリア6628人、カナダ3985人、ノルウェー1648人、フィンランド1220人。

積極的な欧米、日本を注視

 日本は78年からインドシナ難民約1万1千人を受け入れたが、それ以外で人道的配慮から受け入れた外国人は年に数十〜数百人程度。自力で日本に来た人が多い。今回の第三国定住は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が各国の基準を満たす難民を紹介してくれるため、政府が最初から自力で選ばなくてすむ。
 欧米諸国は第三国定住受け入れに積極的で「各国とも政策的メッセージを込めている」とUNHCR元駐日代表の滝沢三郎・東洋英和女学院大教授は分析する。
「アメリカは民主主義への脅威を許さないとの強い姿勢を示す。北欧諸国は病人や障害者を優先的に受け入れ、人道支援国家のイメージを発信している」
 各国は定住支援策にも力を注ぐ。IOM駐日事務所によると、米国は難民の面倒を見る国内のNGOを指定。フィンランドでは3年間の生活が保障され、職業訓練や言語研修を続けられる。
 日本に到着する難民は東京都内で半年間研修を受けるが、その後の生活の見通しははっきりしない。滝沢教授は「日本が難民とどう共生するのか。国際社会と世界中の難民が注目している」と話す。

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