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● 増える難民申請に支援手薄 孤立と生活苦、重い精神疾患多く  (10/5/4京都新聞)


 インドシナ難民が1980年代に一段落した後この10年間、ミャンマーやトルコなどから日本への難民が増えた。難民認定申請者は2008年に1599人に上ったが、認定率は2〜4%にとどまる。難民として日本にやってきた人たちは金がなく、仕事もなく、帰れないまま、暮らせない。どうしたらよいか、八方ふさがりの状態が続く。

 外国人たちのメンタルヘルスに取り組む専門家で構成される多文化間精神医学会が3月に福島市で開かれ、「彷徨する難民認定申請者のこころと支援」についてシンポジウムを開いた。難民受け入れで立ち遅れる日本の実態が浮かび上がった。
 シンポではまず、冬季五輪にわいたカナダ・バンクーバーの精神科医、ソーマ・ガネサン・ブリティッシュコロンビア大教授が「国民の25%が移民」というカナダの手厚い難民保護策を語った。
 カナダの調査では難民の心的外傷後ストレス障害(PTSD)が17%、うつ状態が16%。カナダ国民の平均に比べて2〜3倍に上っていることを示した。さまざまな迫害が難民らに響いている。
 ガネサン教授はその精神疾患の原因として「繰り返されたストレス、社会的文化的孤立、言葉が分からない」などを挙げ、難民への精神保健サービスの意義を説いた。
 教授自身がベトナム難民だった。「アインシュタインも難民だった。難民に壁でなく、橋をつくってほしい」と訴えた。
 日本の実態はNPO法人難民支援協会の桜井美香さんと、看護・心理士で大正大大学院研究生の鵜川晃さんが報告した。難民認定申請者には1日1500円、住居費(単身者)月額上限4万円などの保護費が支給される可能性はあるが、原則4カ月の支援にすぎない。
 難民認定申請者は21世紀に入って急増した。審査には平均2年、最長9年もかかる。昨年4月には予算が不足し、5月までに約100人が保護費を打ち切られる事態まで起きた。多文化間精神医学会が「難民を餓死から救うためのアピール」を出すとともに、寄付を集めて食科提供などに取り組み、急場をしのいだ。
 本年度の保護費の予算は前年度の2・4倍の2億6千万円に増え、やや改善できそうだ。桜井さんは「地域で難民を支える態勢づくり」、鵜川さんは「専門家による迅速な包括支援」を求めた。
 同学会の理事長、野田文隆大正大教授(精神科医)は毎週金曜日、「四谷ゆいクリニック」(東京都新宿区)の多文化外来で難民らの診療に当たる。「重い精神疾患の人はかなりいる。仕事がなく、同国人のコミュニティーに接触できず、生活に困っている難民は発症しやすい」とみる。
 同学会は多文化間精神保健専門アドバイザーの資格制度を設け、専門家45人を認定。その名前や連絡先をホームページで公表している。難民らの居住地は最近各地に広がる。最寄りのアドバイザーに相談すれば役立つ。
 シンポを司会した野田教授は「難民は今後も増える。日本だけが受け入れに消極的であり続けることは許されない。支援充実と難民支援法など法整備が急務」と提言した。

【写真】多文化間精神医学会のシンポジウム「彷徨する難民認定申請者のこころと支援」。
左端がソーマ・カネサン・ブリティッシュコロンビア大教授=3月19日、福島市の「コラッセふくしま」

【図】難民認定申請者の推移

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