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● 翻訳データ:2009年スリランカ指針の妥当性に関する注記 (UNHCR)


★ 翻訳データ:
   UNHCR:2009年スリランカ指針の妥当性に関する注記

出典:UNHCR 2009年7月
翻訳:I


概 観


2009年4月,UNHCRは,「スリランカからの避難民の国際的庇護の必要性を評価するための判断指針」*1(以下「2009年4月指針」)を発表した。2009年4月指針が発表されて以降,スリランカにおいては重要な事態の進展があり,これは、スリランカの庇護希望者の難民の主張内容の評価にとって重要なものである。

もっとも重要なことは、2009年5月,政府軍は,北部においてLTTEの最後の支配地域を攻略し、それにより、スリランカ政府軍とLTTE間の武力紛争に関連した戦闘が終結したことである。本注記は、こうした動向に照らして2009年4月指針が引き続き指針として妥当かどうかについて指針を示すために作成された。
*1 国連高等弁務官事務所「スリランカ出身の庇護希望者の国際的保護ニーズの評価に関わるUNHCR該当性指針」(2009年4月)
指針の妥当性

2009年4月指針が公表された時点で,スリランカ北部の民間人は,スリランカ政府軍とLTTEとの武力紛争の結果、暴力が一般化した状況が支配的な中で,無差別な危害が生じるリスクに晒されていた。その結果,UNHCRは,難民条約上の基準に適合しない北部出身の庇護希望者であっても、拡大された難民の定義にもとづいて難民と認定するか、補完的保護を付与することを勧告していた。北部における武力紛争に関する戦闘の休止により,戦闘の十字砲火の中で民間人が無差別の被害に遭う危険は基本的に終結した。それゆえ,UNHCRは,もはや,このことだけをもって,拡大された難民の定義の適用や補完的形態の保護を勧告しない。

戦闘が終結したにもかかわらず,スリランカにおける人権状況は,今なおUNHCRにとって懸念される状況にある。UNHCRは,2009年4月指針の見解と勧告は今なお有効であり,スリランカ出身の庇護希望者が難民条約上の難民にあたるかどうかを評価する際に考慮すべきであると考える。

2009年指針は、「北部出身または北部タミル人に対し広範な人権侵害が行われ、男女を問わずすべての年齢のタミル人が標的とされたことを示す信頼できる証拠が存在することをふまえ、UNHCRは,スリランカ北部出身のタミル人難民は,1A(2)条の基準を満たさないことを示す明らかで信頼できる徴候がないかぎり、難民条約にもとづく難民と認められるべきであると考える」と勧告している。

北部に居住するタミル人、北部出身のタミル人の難民該当性の推定に関するこの勧告は、特に2006年の見解を発行して以降の出来事に照らして北部に居住するタミル人と北部出身のタミル人がどの程度のリスクに直面するかという点と、そのリスクと難民条約上の難民の理由のいずれかとの間にどの程度関連性があるかという点についてUNHCRが下した結論を反映している。

2009年4月指針パートCは、スリランカで広範な人々に及ぶ人権侵害、特定の人物を標的とする人権侵害が行なわれていることを示している。出身国情報は、拉致、失踪、恣意的逮捕、拘留、移動の自由の制限、表現の自由、拷問その他の非人間的な取り扱い、残酷なあるいは品位を貶める取り扱いの報告事例においてタミル人の割合が非常に大きく、その多さは人口構成から不釣り合いなほどであるとことを示している。これらの人権侵害は内戦時、北部で広範に存在したが、戦闘が停止したにもかかわらず、かなりの程度続いている。

UNHCRが考慮してきた出身国情報は、スリランカ北部出身のタミル人は、人種(民族性)、または(有しているとみなされる)政治的意見によりその地域(およびそれ以外のスリランカ内の領土)において深刻な人権侵害を受ける大きなリスクに直面していることを示している。北部のタミル人は依然として、指針で述べているような治安対策、反テロ対策で最重要の標的とされている。北部のタミル人の広範にわたる拘留、監禁は依然として、深刻な懸念である。政府側の民兵組織分子も、依然として、なんら訴追されることなく、北部でタミル人を標的とした軍事行動を展開している。ある特定の経歴(2009年4月指針に列挙しているような経歴)をもっているタミル人は相対的にリスクが高いが、タミル人は、年齢、属性や経歴に関わりなく、(2009年4月の指針が強調しているように)影響を受けている。北部にいるすべてのタミル人が重大な人権侵害を受けるとは限らないが、国連高等弁務官は、評価基準の「十分な理由のある」要件を満たすのに必要な「合理的可能性」の基準を十分満たす高いリスクが存在すると考えている。

したがって、近い将来現地の状況についての詳細な評価が行えるまでは、国連高等弁務官は、第1A(2)の基準を満たさないと明確かつ信頼できる事情がないかぎり、スリランカの北部からのタミル人難民申請者を、難民条約上の難民として認定すべきであるという2009年の指針の助言を維持すべきであると考える。

スリランカの現在の状況

内戦の休止(cessation)にもかかわらず、スリランカの現在の保護状況、人道状況はきわめて困難な状況にある。北部では、旧LTTE支配地域出身の住民のほとんど全部(28万5000人のタミル人)が北部地域の軍によって重装備されたキャンプに閉じ込められている。政府は、キャンプでの軍の駐留を徐々に削減し、次第にキャンプ内の人々をそれぞれの出身地である村への帰還を開始すると公言しているが、相当な時間がかかるのは明確である。移動の自由の欠如は、この閉じ込められた人々にとって、キャンプ外の親族との再結合、就労、通常の学校への通学、最終的には居住地選択を阻む最大の懸念事項としてなっている。

これまでのところ、年配者を中心として5,483人のほどの国内避難民がキャンプから釈放されており、政府はさらに、9,000人について拘束を解くと発表している。こうした進展は歓迎すべきものであるが、国連は引き続き、基本的な移動の自由の保障を求めるともに、暫定措置として、特定の必要性を有する人々の早期の釈放と、釈放対象者のカテゴリーの拡大を要望している。国の安全に危険を生じさせないすべての民間人に対し、キャンプ外で生活することを含め、移動の自由の権利を保障すべきである。

UNHCRは、現在北部に送還されるタミル人が、その地域での民間のタミル人の大規模な強制移住(displacement)と監禁にともなう人権侵害をさらされる可能性が高いと考えている。したがって、UNHCRは、この過渡的な紛争後の期間中、強制移住と監禁の状況が大幅に向上したという明確な兆候が見られるまでスリランカへのタミル人の自由意思にもとづかない帰還を実施しないよう勧告する。

前記の理由から、UNHCRは、北部に住むタミル人および北部出身のタミル人について代替措置としての国内逃避(IFA)に関する従来の見解を変更するのは適切でないと考える。また、スリランカのさまざまな地域での現在の状況のより明確な評価が実施されるまで、この点に関する2009年4月指針の勧告内容が維持さえる。

暫定的な難民の地位であれ、あるいは個別認定にもとづく難民の地位であれ、難民としてすでに認定されている者については、その地位を維持すべきである。

今後の改訂について
実質的かつ持続可能な変化が国に明確に現出したと判断できる時点で、UNHCRはスリランカの状況について詳細なレビューを行ない、指針の改定を行なうようにする。それまでは、2009年4月の指針が引き続き有効であり、それが適用されるべきであるとみなされる。

UNHCR
2009年7月


  原文(Note on the Applicability of the 2009 Sri Lanka Guidelines)はこちら pdfファイル

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