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● なんみんハウス資料室だより (第16~第20号)

「なんみんハウス資料室便り」とは
「なんみんハウス」資料室に所蔵している本、新着本などを室長のnonomarunさんがボチボチと紹介していきます。資料室には、難民認定に向けての実用書類、国際人権法、在住外国人支援のためのガイドブック類、日本語教材のほか、難民・移民・国際関係・国内事情などに関するノンフィクション・フィクション一般書・絵本などなど、あらゆる視点からの書籍や雑誌、報告書や論文類を所蔵していく予定です。
 「あ!これ面白そう!」「他にどんな本があるのかな?」「もう少し詳しく知りたい」「レポート課題があるんだけど…」と思ったら、ぜひぜひ気軽に「なんみんハウス」にお越しください。現在貸し出しは行っておりませんが、資料室で自由に閲覧していただけます(注:講座や会議等使用中は利用できません)。お越しくださるときは事前にご連絡・ご確認ください。

 第16号 小泉康一・川村千鶴子編著『多文化「共創」社会入門 ―移民・難民とともに暮らし、互いに学ぶ社会へ』
 第17号 ベンジャミン・パウエル編(藪下史郎監訳、佐藤綾野・鈴木久実・中田勇人訳)『移民の経済学』
 第18号 オルタナ『alterna 49号』2017年8月
 第19号 
 第20号 

 第16号 小泉康一・川村千鶴子編著『多文化「共創」社会入門
       ―移民・難民とともに暮らし、互いに学ぶ社会へ』


みなさん、こ、こんにちは。なんみんハウス資料室長のnonomarunです。

★資料室についにエアコンがつきます!たくさん書籍や資料も揃ってきたので、涼み&勉強しにきてね!

★2ヶ月ぶりの本の紹介は、「多文化共創」についてです。「共生(共に生きる)」ではなく「共に創る」。
 「本書の目的は「対話的能動性」を相互に引き出しながら、移民や難民とともに生きる多文化社会の現実を知り、課題を発見し、問題解決の道を模索することにある。多文化共生からより広いネットワークをもつ能動的な実践力を発揮する「多文化共創社会」の実現を目指している。…日本政府は、これまで「移民」という言葉を避けてきたが、移民・難民はすでに私たちの眼の前にいる。ともに暮らしている友人でもある。…彼らは生活者であり、隣人であり、友人であり、時には身内でもある。」…まえがきより
 そのために、具体的にどのような課題が目前にあるのか、これまでの経緯と現状を踏まえ、各章それぞれの論者が読者に問いかけ、各章に「ディスカッションタイム」として論点のポイントと視点の提示があります。ここからもわかるように、本書は特にこれからの若い世代に向けて、各研究者から期待を込めて発信されたもの。なぜなら「平成生まれの学生たちは、多文化・多言語にもまれて成長しており、多元価値社会に生きるアイデンティティの獲得に敏感である」から。
 RAFIQでは「若手の会(仮称)」を6月に立ち上げ、現在難民の方とともに、様々なイベントを行ってきました。nonomarun室長もその場に一緒にいて(注:私は若手ではありませんが、と毎回自己申告)、本書に書かれているような若い人たちの感性に触れる瞬間が多くあります。混迷していく日本社会・世界情勢のなかで、まず自分自身の将来や生き方、自己確立や自己実現をどうしていくかという希望と不安を持ちながら、どのように日本にいる難民と等身大で関わっていくのか、それは彼らの感性だけで乗り越えていけるものなのか、などなど、実はいろんなことを考えながら室長、楽しく関わっています。会員向けイベントも開催予定なので、皆様もぜひ!と、最後は会の宣伝のようになってしまいましたが!

 小泉康一・川村千鶴子編著『多文化「共創」社会入門 ―移民・難民とともに暮らし、互いに学ぶ社会へ』 
 慶應義塾大学出版会、2016年10月

まえがき(川村千鶴子)
第1部  移民・難民理解へのアプローチ
 第1章  学びの多様性と多文化共創能力 ―親密圏と多文化共創能力
 第2章  多文化と医療 ―性と生殖を守るために
 第3章  家族の変化を知る ―多文化な家族と地域社会
 第4章  多文化共生の担い手を育てる ―群馬県大泉町での日本語教育の重要性

第2部  多文化共創まちづくりへの基礎知識
 第5章  エスニック・コミュニティと行政の役割 ―外国籍住民が「主体」になるために
 第6章  企業が取り組む多文化共創 ―CRSとダイバーシティ・マネジメント
 第7章  日本の移民・難民政策
 第8章  エスニシティの形成と創造 ―マジョリティ・マイノリティ関係の動態
 第9章  外国人の市民権とは ―グローバル市民への視点

第3部  人の移動から世界を読み解く
 第10章  現代世界の人の移動 ―複合する危機と多様な人々
 第11章  人はどう動いてきたのか ―世界の変化と人の移動
 第12章  世界は人々をどのように守ってきたのか ―ルール・組織と活動・恒久的解決
 第13章  私はどこに属しているの? ―無国籍に対する国際的取り組み

第4部  21世紀をグローバルに考える
 第14章  途上国では、いま何か起きているのか ―ソマリアの事例から
 第15章  難民流入に対するEUの移民・難民政策
 第16章  国境を越える民、国歌を超える人権 ―移民・難民の人権保護と国際人権法
 第17章  難民の定住と心的トラウマの影響
 第18章  移民・難民への見方を問い直す ―“新しい人道主義”を超えて

あとがき
資料

(17/7/11 発行)

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 第17号 『自分とは違った人たちとどう向き合うか 難民問題から考える』


みなさん、こんにちは。
なんみんハウス資料室室長のnonomarun@もうね、暑いの飽きたよ、日本の夏は過酷だね。です。

★今回のなんみんハウス資料室便りは、先日までRAFIQ初のインターンとして活躍してくれていた、eijiが寄稿してくれました!
ブレイディみかこさんの本で、現代は「もはや右対左(右派左派)ではない、下対上の時代だ」という指摘があり、つまり右か左かは敵(自分たちがうまくいかないのは誰のせいか、移民か金持ちか)という違いだけであって、右左は簡単に移動する。本質は上下(格差・貧富)なのだ。これが今の室長の世界を読み解くキーワードのひとつ!! というのを考えつつ、室長も読みたいです(って、アンタ、まだ読んでないんかーい!)

★これからも、みなさんからの寄稿を募りたいな~と思っていマス。資料室にある書籍・雑誌・論文、または寄贈していただける本について、是非紹介してください! それでは、どうぞお読みください!


こんにちは!
今回の書籍紹介は、我らが資料室室長nonomarunさんに代わって、eiji@3ヶ月あった夏休みが早くも終わろうとしていてドン引きしている、というか夏休み3ヶ月もあってごめんなさい。です。
初めましてなので、ちょこっとだけ自己紹介します。僕は、カリフォルニア州の小さな大学に在学しており、この秋から二年生です。今年6月からRAFIQで様々勉強させて頂きながら、お手伝いをさせて頂いておりました。面会や事務所当番、イベント等で様々な貴重な出会いをさせて頂き、ラッキーなことに、発足したばかりのGLORRYこと若手の会でも活動させてもらうなど、RAFIQでの様々な縁と経験に本当に感謝しています。
大変お世話になった室長から、この度の書籍紹介の任を拝しまして、拙い文章ですが、自分なりに紹介させて頂きます。

★昨年、トランプ氏が米国大統領に当選するに至った背景の一つに、彼の移民に対する排外的な発言があります。グローバライゼーションが進み、大量の労働力が世界から米国内に流入する中で、トランプ氏は、米国の治安の悪化や、中間層や低技能労働者の雇用が移民によって脅かされるという不安を煽り、一部の国民から熱烈な指示を集めました。

★その移民排斥論を、経済学を中心とした様々な社会科学の目でぶった切り、移民の功罪や政策の可能性を検証しているのが、今回紹介させて頂く本になります。

 ベンジャミン・パウエル編(藪下史郎監訳、佐藤綾野・鈴木久実・中田勇人訳)『移民の経済学』
 東洋経済新報社、2016年

 解説
 第1章 イントロダクション
 第2章 国際労働移動の経済効果
 第3章 移民の財政への影響
 第4章 アメリカ移民の市民的・文化的同化政策
 第5章 雇用ビザ:国際比較
 第6章 穏当な移民改革案
 第7章 移民の将来:自由化と同化への道
 第8章 国境の開放化に関する急進的な見解
 第9章 結論:代わりとなる政策的視点

 謝辞
 参考文献
 索引
 著者紹介
 監訳者・訳者紹介


タイトルからもお分かりの通り、この本は難民問題そのものには、ほとんど触れておらず、広義に人間の移動を捉える移民問題を取り扱っています。そもそも日本では移民というものの存在が制度として存在しません。では、なぜこの本が日本人にとって重要になりうるのかということですが、米国の移民排斥論と、日本の難民問題やヘイトスピーチの根っこにあるものが感情論によるものであり、十分な学問的考察に基づいていないという共通点を見出すことができることができると思われます。また、本書で論じられるのは米奥の経済や社会や政策ですが、現在日本で存在しない移民政策を、日本でどのように実現できるかを考えるのにも、非常に参考になると思います。

第2章から第5章は、移民が受け入れ国や、輩出国、そして世界全体にもたらす影響や、現行の政策などが言及され、残りの章では、不法移民への対応や国境開放化等に関して幾つかの異なる見解を持った社会科学者による政策案が論じられています。

特に前半の章では、経済学に関するある程度の知識がないと(少なくとも、経済学の授業を取っていない僕には)、あまりよく分からない箇所がありましたが、全体的には経済学を知らないからといって読めない本では決してないので、途中でポイしないでください。

さて、経済や社会秩序といった面で、どのような正と負の影響の可能性があるかは、本を読めばわかるので、読んでからのお楽しみということにしておきます。ただ、人権問題に聡い皆様が、頭の中に他者の人権の”じ”の字もない、つまり自分自身の利害しか頭の中にない人をギャフンと言わしめるに足る、学問的分析に基づいた論説を知ることができるのは間違いなしです!

しかし、仮にどれだけ人間のより自由な移動が便益に繋がったとしても、それだけを拠り所に移民を受け入れるのは危険だなと僕は思いました。資本主義経済には波があるのが法則であり、中長期的に移民による正の経済効果に浴することができたとしても、ひとたび景気が後退すれば、経済的利害にのみ振り回される人は、ここぞとばかりに移民排斥論を再び掲げ、移民排斥政策を推進していくことになるからです。

というのも、米国に限らず、世界各地で高まる移民排斥の動きは、全く新しいことではなく、20世紀初めから移民排斥政策は各地で実行されてきており、その動機はやはり雇用不安や、利権の保護に専心する人々の心によるものが多くありました。(20世紀初頭、米国で日本人の移民規制がされたり。今はメキシコですね。)

もちろん、自分の生活や命を守ろうとするのは自然なことですが、カネ、カネ、カネではなく、慈悲のある人権意識を一人一人の心の中に広げていくのが、やはり一番大切だなと思った次第です。国家の伝統的なあり方についても考え直させられたり。

さて、皆様はこの本を読んで何を思い、考えるでしょうか? 移民排斥や白人至上主義運動などが、最近ニュースなどで取り上げられますが、そうした動きにも敏感に反応していきたいですね!

(17/8/22 発行)

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 第18号 オルタナ『alterna 49号』2017年8月


みなさん、こんにちは。
なんみんハウス資料室室長nonomarun@今日は資料室から生中継!新品エアコンで自分ちより快適だ~(きてね)! です。

★資料室の本棚もいっぱいになってきました!この調子でいけば、年内には本がギューギューになって、エアコンの次は「新しい本棚が欲しいですひとりキャンペーン」を張ることになりそうな予感。。。でも自分ちから大量に本を持ってきているのに、なぜワタクシの部屋の本の筍は伸び続けているのでしょう?

★今回ご紹介するのは月刊誌『オルタナ』49号(2017年8月号)の「難民・人権問題で企業は無力か」特集号。本文にもありますが、この題名は「反語」。「いや!できる!できますともさ!」という意思を示しています。難民認定申請者は在留資格があれば、申請6ヶ月後に就労許可が下りれば日本で働くことができる(しかし、再申請時に突然就労不可にされてしまう事例がいま多発していますが…)。そうした難民を積極的に雇用しようとする企業がいま増えてきています。「仕事ができる」というのは、お金のためだけではなく、自分の尊厳や人間らしさを確認できる機会でもあり、日本社会との大切な接点にもなる。一方で就労不可の難民(少ない補助金がもらえるとはいえ)に対する心のケアはどうすれば…? 問題は山積みですが、政府が動かないなら企業が!という日本企業の底力が見たい!

★表紙の美しい女性は、元スーダン難民のスーパーモデル、アレック・ウエック。H&M FoundationのアンバサダーとUNHCRの親善大使を務めています。アフリカ系モデルとして初めて「ELLE」の表紙を飾りました(1997年)。「モデル業はお金のためでも名声のためでもない。重要な問題に光を当てるため。私は運良く脱出できたが、いまだ多くの人が取り残され、それを世界に知らせる必要がある」彼女の言葉が力強く響きます。

★難民問題に関わる記事のみ、以下にご紹介します。

オルタナ『alterna 49号』2017年8月

「南スーダン難民、虐殺から逃れて」(2頁~)
ALTキーワード「愛の南京錠」「子どもたちの命をかけた旅」(4頁~)
「ソーシャルデザイン最前線 世界の難民を勇気付ける究極のデザイン」(11頁)
「難民・人権問題でビジネスは無力か」(12頁~)
  コラム「難民受け入れの素地 日本社会にはある」(難民支援協会JAR)
  ドイツ「人道も多様性も重要 官民挙げて積極受容」
  米国「トランプ政権に対抗 難民雇用貫く企業」
  韓国「「難民法」、アジアに先駆け」
伊藤和子(ヒューマンライツ・ナウ)「日本企業の人権問題、成長・リスクの分水嶺」(26頁~)

(17/9/8 発行)

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